かみ合わせが悪いとは

かみ合わせが悪くなる原因

かみ合わせの乱れには、さまざまな要因が複雑に関係しています。主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。

1. 先天的な要因（生まれつき）

• 顎の骨格のバランス
• 歯の大きさや本数の異常・遺伝的な影響

2. 後天的な要因（生活習慣）

• むし歯や歯周病による歯の欠損や移動
• 不適切な詰め物・被せ物（補綴物）
• 歯ぎしりや食いしばりの習慣
• 頬杖やうつぶせ寝、片側だけで噛む癖
• 舌の癖（舌で歯を押すなど）
• 矯正治療の不具合

かみ合わせのズレが引き起こす不調

かみ合わせの不良は、単に「食べにくい」といったことにとどまりません。場合によっては全身の健康に悪影響を及ぼす可能性もあります。
たとえば、かみ合わせのズレによって顎関節（がくかんせつ）に過度な負担がかかると、口を開けたときに「カクッ」と音がする、口がスムーズに開かない、顎の痛みがあるといった「顎関節症」の症状が現れることがあります。
また、顎を動かす筋肉に過度な緊張が生じると、肩こりや頭痛、首の痛みといった慢性的な不調を招くことがあります。さらに、左右の筋肉の使い方に偏りが出ることで、顔のバランスが崩れたり、全身の姿勢にまで影響を及ぼしたりすることもあるのです。

こんな症状、ありませんか？

以下のような症状に思い当たる方は、かみ合わせの異常が隠れているかもしれません。少しでも気になることがあれば、早めに歯科で相談してみることをおすすめします。

• 食事中に食べ物がうまく噛めない、噛み切れない
• 顎がだるい、疲れやすい
• 顎が「カクカク」と音を立てる、引っかかる感覚がある
• 肩こり・首こりが慢性的に続いている
• 歯に力を入れたときに違和感や痛みがある
• 頭痛がよく起こる
• 片方の歯だけすり減っている、欠けている
• 朝起きたときに顎が重い、疲れている感じがする
• 口が開けにくい、または閉じにくい
• 顔の左右差が気になる

かみ合わせの検査・診断

国立緑歯科クリニックでは、以下のような方法でかみ合わせの状態を調べます。

視診・問診

レントゲン検査

X線を用いて顎の骨の形状や関節の位置、歯の根の状態、埋まっている親知らずや歯周組織の異常などを確認します。顎関節の変形や骨の吸収、歯の根の炎症の有無なども把握できるため、かみ合わせに関係する隠れた問題を見つけるための基本的な検査です。

咬合紙検査

色のついた専用の薄い紙（咬合紙）を上下の歯の間に挟み、軽く噛んでもらうことで、どの歯が強く当たっているか、どの部位に偏りがあるかなどを確認する検査です。咬合紙の色が歯に付着し、強くあたる部分に印が残るため、接触の強さや位置がわかります。治療前後の変化を比較する際にも用いられ、咬合バランスの調整に役立ちます。

かみ合わせの異常で疑われる主な疾患

かみ合わせの不良が関係していたり、それによって症状が悪化したりすることの多い疾患を以下に紹介します。

顎関節症

顎の関節に異常が起きる疾患。痛み、音、開口障害が主症状です。

かみ合わせによる歯周病（咬合性外傷）

かみ合わせの力が異常に加わることで、歯や歯周組織にダメージを与える状態です。歯周病が悪化する原因のひとつで、放置すると歯の揺れや歯槽骨の吸収が進行します。

歯ぎしり・食いしばり（ブラキシズム）

睡眠中や覚醒時に無意識に歯を強く擦り合わせたり、力を入れたりする癖。

かみ合わせの治療法

治療は症状の程度や原因に応じてさまざまです。以下のようなアプローチが一般的です。

咬合調整

特定の歯のかみ合わせの高さを調整してバランスを整えます。

矯正治療

歯並びや顎の位置に問題がある場合、歯科矯正で改善を図ります。

補綴治療

不適切な詰め物や被せ物を作り直して咬合バランスを整える治療です。

マウスピース

マウスピースを装着し、歯への負担を軽減しながら顎の位置を安定させます。

生活習慣の指導

頬杖や片噛みなどのクセを改善し、歯ぎしり対策や姿勢指導なども行います。

かみ合わせの不良は、見逃されがちな症状の一つです。しかし、放置すると全身の不調につながることもあるため、決して軽視はできません。「少し違和感がある」「歯医者に相談するほどでもないと思っていた」という方も、歯科医院でチェックを受けることで、予想外の原因が見つかることもあります。
気になる症状がある方は、お早めにご相談ください。